いろは椿
2014/12/23 (Tue) 大仏によせて

昨年に続き、第二回「お遊戯会」に参加させてもらい、22日の日曜日には大津まで行ってきました。大津京は大阪から40分ですが、伝統芸能会館という所に綺麗な能舞台があるのです。知的美女な能楽女史主催で能狂言をお稽古している方々の集まりに、ジャンル不問ということで飛び入りさせてもらっています。

こちらは出演者が見所に回って見る感じの内々のお浚い会ですが、それでも舞囃子をかける方々は何回も練習や早朝申し合わせをしていらしたり、素人同士であっても舞台にかけることに本気なので、とても良い刺激になります。規模に関わらず、人様の前で披露することが大事なので、機会を頂けるのは有難いと思うことしきりです。(私にはある意味アウェイの環境なので厳しい目に晒されることも必要かと。)

去年は能にも由縁のある演目ということから地唄「鐘が岬」を舞わせて頂きました。15分あるので普段地唄舞をご覧にならない方にはちょっとお目だるかったかなということもあり、今年はもう少し短いものをと思ったのでした。ただ、半年以上お稽古をお休みしてしまい、10月からご教授頂くにあたって何か以前にお稽古して頂いたことのあるもののうちで...となった時に、振りが大好きだったので地唄「大仏」をさせて頂いてもいいでしょうか?と師匠に申し上げた次第でしたが、それでいろいろお手数をおかけしてしまった顛末がありました。申し訳ないのと感謝のうちに迎えたようなものです。

今回は能つながりではなかったのですが、大津は京都に近い場所でもあり、題名と内容のギャップがある所が面白いかもと思ったのです。
こちらに引いておきます。

地唄「大仏」
大仏の妹背は京と奈良坂や 児の手柏の両面(うらおもて) 窓から窓の垣間見に
囁く声もこだまして 聞いて居よとも耳塚に
何の遠慮も太しき柱 互いに手に手をのばし合して抱き締めて
穴を忍び路潜らばくぐれ 鳥はものかは釣鐘さえも 
撞かぬ夜明けとまた布団着て 寝たる姿や東山


京都方広寺の大仏と奈良の大仏が恋仲という設定で、歌詞も非常に官能的なのですが、振りはそれをさらっと仕立ててあるのと、地唄には珍しくまだお互いが一緒にいる幸せな幕切れという所が好きです。余談ですが最後の歌詞は服部嵐雪の俳句「布団着て寝たる姿や東山」を詠み込んであるそうで(出典:別冊演劇界「日本舞踊集成②京舞・上方舞編」)同じ句が別の地唄「東山」にも冒頭に詠み込まれているようですので、人口に膾炙した句だったのでしょうね。

*ー*ー*ー*ー*
今年は6月に酒さ様皮膚炎の劇症型のような症状を発症し、数ヶ月はお化粧ができずにマスク通勤していたため一時はもうこのまま人前に出られないのではないかと不安もよぎりましたが、でも治るでしょ、と淡々と構えるようにしていたら半年で何とか持ち直しました。舞える喜びを噛み締めることができて、年末を無事に締めくくることが出来たことが本当にありがたいと思いました。

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2013/10/09 (Wed) 鐘が岬

師走にお遊戯会と称する有志のお浚い会に声をかけてもらったので、最近出不精ですが大津まで行くことにしました。12月は案外言っている間に迫って来そうです。

市営の能舞台を借りるというので、格の合いそうなもの、それで、他の方々は皆さんお能のお稽古から何か演じるというので(多分他ジャンルの芸能は私だけ?)師匠に相談し、地歌の「鐘が岬」を舞わせて頂けることになりました。

四年前に初めて教えて頂いて、音も振りも好きなのに全く身に入ってきた気がしない難しさがあった曲です。今日も大先輩に、鬼にならないといけないから難しいと言われました。

地歌はどれも一朝一夕では舞えないなあと、いつも感じます。蛇に化身までして去った僧を追いかける清姫の執着や激しさ、その極地まで針が振り切れた事はありませんが、人の心には蛇はいるものだと感じています。心は七分で型を忠実になぞることで、その歳と状態で舞える所まで頑張りたいなと思っています。

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2013/07/29 (Mon) 山村流講習会

今年も無事おひらきになりました。直前と当日の準備だけ少しお手伝い、当日は参加者としても楽しませて頂きました。終わってしまうと楽しいと思えます、笑。当たり前のことが当たり前に進むのは、普段の企業での仕事でもそうなんですが、実は関わるいろんな人が水鳥になっているんですよね。

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2013/07/27 (Sat) 夏の講習会

毎年7月最後の日曜日は、お流儀の講習会です。その年の課題曲を、御家元を中心とした指導役の先生方から百数十名がその場で教えて頂き、数時間で覚えて帰る会なのです。

講習後は早めのお夕飯もホテルのフルコースで頂けて、例年旧交を温める機会としての意義があるんだなあと感じる行事。

地元関西のみならず、東京や九州からも、10代から80代まで参加され、気軽に楽しんでいる様子を拝見すると、本業が目まぐるしい中でも準備を少しお手伝いさせて頂いた甲斐はあったかなあと実感したりするものです。

ということで、明日は久しぶりに夏の絽の着物。エメラルドグリーンの色合いに白と銀の小さな萩が飛び柄で入っている、お気に入りのです。帯は白地に団扇。てんてこまいになるかもしれませんが、せめて眼には涼やかに映れば、笑。

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2011/11/12 (Sat) 奈良には随分

DSC_0133.jpg

近くて遠いのです、奈良。
五條辺りは実家から車で東行するといつの間にか着く距離ですが、奈良公園ともなれば電車で遥々、という感覚が否めません。
今は大阪に住んでいるため、近鉄電車に乗って思いの外すんなり行けることは分かっていますが、あ、そうだ、と思い返してみると二年前の同じ頃にも同じようなことをブログに書いていました。

その時は、奈良の能楽堂で舞の会があり、先生のお供で訪れたのでしたが、雨の日に、木の香りのするお座敷の楽屋で聞いたことのない不思議な鳴き声が響き渡った時の驚きが今でも蘇ります。
鹿といえば漆黒のつぶらな瞳の愛くるしさに魅せられますが、そういえば鳴くのは雄鹿で、妻問いのためと言われます。

君に恋ひうらぶれ居れば敷の野の秋萩しのぎさを鹿鳴くも (万葉集より)

奈良を思い出したのは、秋になってから教えて頂いていた地歌「大仏」のことからです。
京都方広寺の大仏と奈良の大仏を男女の仲に見立てた歌なのですが、六年前に舞浚い会で初めて拝見しました。
曲名の無骨な印象からは想像のつかない、大らかでいて艶のある舞がとても新鮮で、以来、浴衣会などで他の方が舞われるのも楽しみにしていたのです。
果たして、自身が教えていただく段に至っては、例によって難しい...という点がいくつもあり、地歌には珍しい幸せなカップル(大仏さん同士ですが)の捉えどころの無さもその要素の一つであるように実感しています。

大仏の妹背は京と奈良坂や 児の手柏の両面(ふたおもて)
窓から窓の垣間見に 囁く声もこだまして 聞いて居よとも耳塚に
何の遠慮も太しき柱 互いに手に手をのばし合わして抱き締めて
穴を忍び路潜らばくぐれ 鳥はものかは釣鐘さえも
衝かぬ夜明けとまた布団着て 寝たる姿や東山

歌詞だけでなく、地歌の曲として聴くと、明るい切なさがあって良いものです。
振りも色事におとし過ぎずに、程々にしな良く構成されているのですが、大仏さんの柱抜けを模した所がありまして、それで気づいた事には私はあれを潜ったことが無いのでした。何度も奈良の大仏殿には行っていますが、いつも人が多く、何だか勝手に大きさを拡大解釈していましたが、本来は狭いもので、それを潜るというのだからその場合に身体はどう動くか、振りとして頭で処理するのでなくて、身体で考えるという点についてご指摘を頂きました。本当に、一つ一つが勉強です。

季節も好いことですし、いっそ奈良公園まで足を延ばそうかしら...という気持ちにさえなりました。



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椿

Author:椿
冷静と情熱の間で彷徨う日々です。解らなかったことが水滴同士のようにぴたっとつながる瞬間が好き。お仕事は横文字に浸かって、趣味で上方舞を続けています。

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